参段受験課題

 

指導者の心得

 

                                            諏訪道場 金井 勇樹

 

  合気道の稽古において、昇級・昇段を重ねるにつれ、後輩を指導する機会が増える。そのため、師範等の指導者を目指す者に限らず、稽古する者は皆、指導の方法を心得える必要があると考える。

 

  第一に、指導する相手の意欲・やる気について、度合を見極めることが必要である。合気道は競技を行わないため、さまざまな目的を持つ者が稽古に励んでいる。武道としての強さを追及する者、健康法として考える者、保護者の勧めにより参加する年少者など、その目的は十人十色である。そのため、指導する者は、相手が何を目的としているかを十分に考え、それを尊重した手段を用いて稽古するとよい。なお、言うまでもなく安全性の確保は最優先である。

 

  第二に、受けの重要性を学んでもらうことが必要である。合気道の受けは、単に受身を取ることを指すのではなく、互いに身体で理合いを学ぶことを目的とし、常に捕りと一体となった動作を行うことをいう。指導者は、これを十分に把握し、相対動作の中で説明できるようにすべきである。また、指導する者は、上位者であ程、捕りを行いつつ説明しがちであるが、受けについてより深く理解してもらうには、自らが積極的に受けを取りつつ、その理合いについて説明するとよい。

 

  第三に、指導する者自らも学ぶ心を忘れないことが肝心である。人に教えるためには、自らが理解する以上に知識や経験が必要となる。そのため、教えることは、教え方を学んでいることと同義であるとも言える。指導者には、初心を忘れず、全ての相手から学ぶ姿勢で稽古する事が求められる。

 

  以上の心得は、私自らが稽古する中で感じた点である。これらが正しい認識であるかどうか、今後も稽古を継続し、指導され、または指導する中で絶えず確認していきたいと考える。

 

 

 

以 上