金宮瑶廣弐段昇段論文

 

 合気道の稽古で取り得た事

  合気道の稽古で取り得た事は相対する相手を敵と思わない事です。

  相手を倒したいとか相手に勝ちたいとか思うと自然と身体に力が入ってしまい技が思うようにかけられなくなります。相手の力と自分の力がぶつかり合わないように相手の体を捌いて倒れるべきところに導く。その過程で相手と一体化すれば、相手は自分の一部になり敵が自分に変わり敵も相手もいなくなるという事らしいです。たまに上手く出来たような気がするんですが、出来たような気がするだけで、まだまだ未熟な自分ではなかなかそういう感じで技はかけられません。

 

  「真の武道とは相手を殲滅するだけでなく、その相対するところの精神を相手自ら喜んで無くさしめるようにしたければならぬ和合の為にするのが真の武道、すなわち合気道である。」(合気真髄より)

 最近、「その相対するところの精神を相手自ら無くさしめるようにしなければならぬ」というのが、出来る出来ないは別にして少しだけ理解出来た気がします。

 

  ある雑誌に大東流合気術の人が取材された記事が載っていました。ある師範と稽古をしていた時に力を抜いた合気的な技で投げられた瞬間に笑ってしまったそうです。その時に「これが武道だ。相手の闘争心を消すのが武道だ。」と言われたそうです。それを読んでいて、合気道を習い始める前に体験稽古をした時に諏訪先生に座技呼吸法で引っくり返されて笑っていたのを思い出し、技を掛けられた相手が闘争心無くし思わず笑ってしまうような技を掛けるということが「相手自ら喜んで無くさしめる」ということではないかと思います。

 

 技を掛けられた相手が闘争心を無くして笑ってしまう、というのをひとつの目標として、先生の指導や一緒に稽古をする人達の力をかりてこれからも稽古を重ね精進して行きたいと思います。