有段者の心得

毛利 勇人

 この度、初段の審査に合格し、強く感じるのは達成感よりも、まだ何も分かっておらず、ようやく入口に立ったに過ぎないと改めて実感しました。

 合気道の稽古は常に相手があって初めて学べるという当たり前の縁に、長い時間をかけてようやく気づかされた気がします。畳の上で共に汗を流す中で結ばれるこの縁こそ、合気道の尊い財産であることに改めて気付かされた瞬間でした。受けを取ってくださる方の呼吸を感じ、技の終わりまで残心をもって相手を敬い。投げたらそれで終わりではないということに気づいていても、私は今も自分本位な稽古を重ねています。

 稽古はまた、自分自身を映す鏡でもあります。うまくいかず、不器用さに苛立つことは多々あります。それでも、愚直に一つひとつの体捌きをやり直す。その泥臭い反復の中で少しずつ心が静まっていく気がします。落ち着きをもって己の未熟さと向き合い続けること、それが合気道を含む人生の修行なのだと身をもって学んでいる最中であることを改めて実感しました。

 そうした稽古の果てに訪れるのが、心の癒やしであり、汗にまみれた末にふと訪れる静寂のことであり、無心で技に集中できるとき、日々の重圧から心が解き放たれていることを実感しています。

 

 有段者としての道は、終わりのない修行の始まりであり、縁を敬い、内省を怠らず、稽古の中に心の救いを求め続けること、それが私の求めていることなのだと改めて実感させていただきました。この場を支えてくださる先生方や仲間への感謝を忘れず、謙虚に学び、いつか後進にも正しい姿勢を伝えられる人間であれることを目標としていきたいと思っています。