2017.3.26

稽古で得たもの

 

                       諏訪道場 内木多喜子

 

  私が合気道を始めたきっかけは、思春期を迎えた息子たちとどのように接したらよいのか悩んだためでした。身体は私をどんどん追い越し、返事は「うん、あー。」しか言わず、大人びていく息子たちがちょっと怖いという切実な思いがあったからです。

 

自分に自信をつけたい。武道で心身を鍛えれば自信がついて、困難な場面でも立ち向かえるかもしれない、と考えて合気道を始めました。

 

あれから10年以上経ちました。息子たちは家庭を築き、新しい家族も増えました。そして私は合気道を続けています。自分に自信がついたか?心身が鍛えられたか?何よりも道場に通い稽古を続けることが私の生活の一部になっています。

 

合気道始めたころに、初心者に向けての指導者からのメッセージを読みました。そこには「合気道は、力に頼り他人と相対して 無理に相手を倒そうとしたり、強弱、勝負を争うことはしません。相手と相和して切磋琢磨をはかり自己の人格を高めて行くのが合気道です。さらに年齢も男女差も関係ありません。誰でもできます。」とあり、今からでも遅くない。頑張ろうと思ったものです。

 

 稽古に通いだしましたが、力を抜いて、相手と相和するということがわかりません。でも早く級をあげたい、昇段したい、子どもたちに自慢したいと考え、むきになって取り組みました。級は上がって行きましたが、本当の意味で合気道を知るということにはつながっていなかったと思います。

 

 年齢を重ね体が重くなったり、あちこち痛みも感じることもある今では、

 

稽古を続け、無理をせず素直に合理的な動きが自然に出来るように、技をくりかえし反復しながら稽古することが、自分には合っていると思えるようになりました。

 

合気道を続けていけば、わからないなりに見えてくるものがあるようです。

 

稽古を通じて養われる機敏性は日常生活においても自然に生かされ、てきぱきとした動作となり、合気道を修行して身につけた自信は人間として生きる姿勢に繋がるのではと思えます。

 

 先日、稽古1000回記念の盾をいただきました。私にとっては、新しい技を覚えて上の段位を目指すことはなかなか難しいことです。

 

 しかし、1500回、2000回と稽古に通い、あと10年続けることならできるかもしれない。こう言える事が自分に対する自信なのかもしれません。何か成果を残したわけではありませんが、継続できる武道に出会えたことが私の自信につながり、元気に毎日を過ごせているのではないかと考えます。

 

  諏訪先生をはじめ、ご指導くださる多くの皆様に感謝しています。一人では続かない稽古も、集う方々と共に修練に励むことでまた一歩進めると信じています。